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【事例紹介】パーソナライズ絵本が拓く、BtoB共創とマーケット開拓

aya.tsuchiya@maternity-food.org

「子どもたちに、もっと自分のことを好きになってほしい。自分自身の星――人生の道標になる、その子だけの光を見つけてほしい」

 そんな温かい願いから生まれたのが、静岡県の印刷会社が手がけるパーソナライズ絵本制作サービス「マイステラ(MY STELLA)」です。ブランド名には、“マイ(私の)”と“ステラ(星)”という想いを込めています。

 今回は、静岡の地で70年続く印刷会社が、確かな製本技術と独自のパーソナライズシステムを武器に、いかにして首都圏の顧客マーケットを開拓し、異業種企業との共創へと繋げていったのか。そのプロセスを紹介いたします。

企業プロフィール

  • 企業名: 有限会社飯塚印刷
  • 設立:昭和30年
  • 事業内容: 創業70年の印刷・製本技術をベースにした、家族の多様性に寄り添う高品質なオーダーメイドパーソナライズ絵本の企画・制作・販売。

創業70年の職人技と、北欧のまなざし。「多様な家族」に寄り添う絵本づくり

 「マイステラ(MY STELLA)」が何よりも大切にしているのは、手にとったときに五感で感じる「本物の質」です。

 世の中にはデジタルコンテンツが溢れていますが、私たちは創業70年の印刷会社として培ってきた製本技術を注ぎ込み、糸ミシン綴じ、花布仕上げのハードカバーで一冊ずつ丁寧に仕上げています。手にとったときのずっしりとした重み、ページをめくる紙の心地よい音。絵本作家が一筆ずつ手描きした透明水彩や色鉛筆の柔らかなにじみを、そのまま紙の上に再現しました。昔から本棚にある名作絵本のように、この先何年も、ご家族の宝物として並べてもらえるようなクオリティを目指しています。

【市場における「マイステラ(MY STELLA)」の競争優位性】

1. フルカスタマイズ:名前だけでなく、髪型や肌の色、家族構成までパーソナライズが可能。
2. 多様性への対応:ひとり親家庭や多国籍な兄弟など、多様化する現代の家族のカタチに完全フィット。
3. 高い客単価とギフト需要:出産祝いや、シニア層(全体の約35%)から孫への誕生日祝いとして強固な需要を確立。

 このデザインの背景には、かつて訪れたフィンランドやエストニアでの経験があります。北欧の「子どもを一人の人格として尊重する」という優しいまなざしを、この絵本の設計に落とし込みました。 
 主なご利用は出産祝いやご自身の出産記念ですが、実は全体の約35%がおじいちゃん・おばあちゃん世代からお孫さんへの誕生日プレゼント。世界にひとつだけの絵本が、三世代を優しくつなぐ架け橋になっています。

地域企業の挑戦。テストマーケティングの場として選んだ「Tokyo Family Marche(有明店)」のビジネスバリュー 

 私たちは静岡を拠点とする少数精鋭の印刷会社で、首都圏における認知度拡大と、顧客が実際に製品に触れるタッチポイントの創出が長年の課題でした。

 その解決策となったのが、日本マタニティフード協会が運営する有明の「Tokyo Family Marche」への参画です。ターゲット層である子育て世代やギフト検討層が日常的に回遊するこの場所は、リソースの限られた地域企業にとって、極めて投資対効果の高い首都圏進出の足がかりとなりました。

グッドデザイン賞を受賞した飯塚印刷の飯塚潤様

 有明という立地には、事業展開上の強いシナジーも感じていました。「マイステラ(MY STELLA)」がグッドデザイン賞を受賞した際、その表彰式会場となったのが同じ有明エリアの東京ガーデンシアターだったのです。この親和性の高いエリアでの展開は、ブランドストーリーを強固にする上でも最適な選択でした。

【実店舗を活用したこれからの展開】

 現時点では現地へのPOP連動などの最適化を進めているフェーズですが、今後は「体験型マーケティング」の場としてさらに深く活用していく方針です。具体的には、店頭で簡易的な名前入り絵本を即時印刷して持ち帰れる体験や、製本ワークショップの開催を計画しています。オンライン完結のサービスだからこそ、リアルな場で職人技や紙の温もりに触れてもらうことで、深いブランドロイヤリティを醸成できると考えています。

協会主催「BtoBtoF EXPO」出展を振り返って

Q.今回、初めて出展されましたが、実際に参加してみていかがでしたか?

飯塚様:当日は、実際にパーソナライズの体験を試していただいた方もいらっしゃいました。「自分の子の名前で見てみたい」と画面を覗き込んでくださる方の表情は、やはり嬉しいものです 。

 なかでも一番うれしかったのは、たくさんの方から「こんな絵本があるなんて、初めて知りました」「世界にひとつだけだなんて、素敵ですね」と、驚きと一緒に温かい言葉をかけていただけたこと 。「うちの子の名前でも作れるのですか?」「孫へのプレゼントにぴったり」「出産祝いに贈りたい」と、それぞれの暮らしのなかで、絵本を受け取る顔を思い浮かべながらお話ししてくださる方が、本当にたくさんいらっしゃいました。製本の質感や手描きのイラストを、じっくりと見つめてくださる方も多くて、自分たちが大切にしてきましたものが、こうしてちゃんと伝わるのだと、しみじみ感じることができました 。

 一方で、難しさも実感しました 。ブースに立ち止まってくださる時間は、思っていたよりずっと短く、興味を持ってくださる方と、そうでない方とが、はっきり分かれていたのも印象的でした 。短い時間のなかで、出産祝いやお誕生日のギフトとしての「マイステラ(MY STELLA)」の魅力をどう伝えるか――これは、これからのわたしの宿題だと、しみじみ感じています 。

Q. 出展参加のご感想や今後の可能性を感じたことは?

飯塚様:テレビ神奈川さんとのご縁がつながり、「かながわMIRAIニュース」の企画にご一緒させていただいているは、本当に嬉しい出来事です。

 神奈川県内の子育て家庭に向けて、お子さまの写真を使ったスライドショーと、世界にひとつだけのメモリアルアルバムをプレゼントする企画で、パーソナライズ絵本の「マイステラ(MY STELLA)」が、アルバムの制作協力をさせていただいています。神奈川の子育てを地域全体で応援するプロジェクトのなかに、静岡の小さな印刷会社をお呼びいただけたことは、本当にありがたく、光栄なことだと感じています。

 何よりうれしかったのは、テレビ神奈川のご担当者の方が、「マイステラ(MY STELLA)」というブランドが大切にしている価値観や、根っこにある理念に、深く共感してくださったこと。「子どもたちにもっと自分を好きになってほしい」「自分自身の星——道標を見つけてほしい」という、わたしたちがずっと胸に抱いてきた想いを、まっすぐに受けとめてくださったように感じました。

 同じ方向を向いて、子どもたちと家族の未来を考えてくださる方と出会えたことは、本当にかけがえのない経験になっています。このご縁が、これからどんなふうに育っていくのか——いまも進行中で、わたし自身、とても楽しみにしているところです。

 もうひとつ印象に残ったのは、赤ちゃんの抱っこ紐で有名なメーカーさんや、ベビー用品のメーカー・販売店さんと、お話しさせていただけたことです。
 ずっと、「マイステラ(MY STELLA)」は間口の狭い商品だと思っていました。パーソナライズ絵本という性質上、対象年齢が0歳から10歳くらいまでで、どのようにリピートしていただくのかは大きな課題。そう感じながらやってきたのです。出展しているみなさまのお話をうかがっていると、それ以上に対象が限られた商品も、世の中にはたくさんあるということ——知ってはいたつもりでしたが、改めて目の当たりにすると、ハッと気づかされるものがありました。そして、その狭さのなかで、どうやって本当に届けたい方にメッセージを届けるか。みなさん、本当に工夫を重ねていらっしゃる。

 出展者の方とは、Instagramの運用方法など、具体的な情報交換もさせていただきました。同じように悩み、同じように試行錯誤している方たちが、こんなにいる。それを肌で感じられたことが、もう一つの大きな収穫であり、たくさんの刺激と勇気をいただきました。

 そして、これからにつながりそうだと感じたのが、子育て支援団体のみなさまとお話しできたことです。「マイステラ(MY STELLA)」は、お子さま一人ひとりの髪型や肌の色、ご家族の構成までパーソナライズできる、オーダーメイド絵本です。多様な家族のかたちに寄り添えるように設計してきたので、支援の現場で「その子だけの物語」を手渡せる可能性があるのではないかとひそかに思っています。これから、もう少しお話を重ねていけるのが楽しみです。


【協会より】加盟を検討されている企業様へ

 今回ご紹介した飯塚印刷様のように、独自の優れた技術や強い想いを持ちながらも、「ターゲット層への最適なアプローチ」や「異業種連携のきっかけ」を模索されている企業様を実務面からサポートし、新たなBtoB・BtoCの繋がりを創出する共創の場です。

 地方からの発信であっても、あるいは対象が絞られた専門性の高いプロダクトであっても、課題の本質は同じです。当協会には、ビジネスの成長はもちろんのこと、「子育て世代の暮らしをより豊かに、温かく変えていく」という共通のヴィジョンを持った企業、メディア、支援団体がセクターを超えて集まっています。

 自社のアセットだけでは突破できなかった成長の壁も、同じ志を持つパートナーと交わることで、バリューチェーンの拡充や新たなビジネスモデルの構築へと繋がっていきます。

 貴社が大切に培ってきた製品や技術を、本当に必要としている市場へ届け、持続可能なビジネスへと結実させるために。皆様のご参画をお待ちしております。

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